小説 グロ遠藤徹

【遠藤徹/むかでろりん】でろでろぽんのでろでろりん!連結する人々と町対町の戦闘!!

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おすすめホラー小説「壊れた少女を拾ったので」の感想・レビューです。

遠藤徹さんのホラー短編集「むかでろりん」は、9編の作品が収録されています。

第10回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作「姉飼」、「壊れた少女を拾ったので」でも独特の世界観を持った短編が収録されていましたが、益々驚かされる世界と物語が詰め込まれています。

他短編集と同様に短編なので読みやすいですが、エログロもありますのでご注意を。

作品名:むかでろりん
著者:遠藤徹
発行日:2007年11月26日
発行元:集英社

収録作品

  • 「むかでろりん」
    人間の臍あたりには結節器という器官がある。その器官を他の人間の背中に開いた結節孔に差し込むと、連結することができる。
    結節した人々は町単位で対立し、警報が鳴れば他の町の人間と戦闘を繰り広げていた――
  • 「鬼を撃つ」
    鬼を撃ちに出た男性にお供することになった女性。
    撃ち殺された鬼たち。その仲間の鬼に追いかけられて捕まって、やがて鬼たちと一緒に生活することになり――
  • 「MEET IS MURDER」
    突如現れた牛頭人身の牛人間。
    始めは差別的な扱いを受けていた牛人間たちだったが、国会議員やアイドルが登場し、次第に社会的にも認められるようになっていって――
  • 「ピノコな愛」
    ビーチにやって来た男女。しかしどこにもビーチは見当たらない。
    見つかったのは、ピンク色の巨大なキノコ。
    それでもビーチを目指して看板に従って歩いていくのだが――
  • 「八つ裂けの妻」
    目が覚めると妻の体が生きたままバラバラになっていた。
    頭は枕の上に、手足はバラバラであちこちに、胴は裸で夫の腕の中。
    妻の特異体質を知ってから、夫は妻に恐怖を感じ――
  • 「肝だめ死」
    市民の特権を受けるには、「肝だめ死」をクリアしないとならない。
    命を落とす危険もある「肝だめ死」だが、何とかクリアできれば手厚い福祉を受けることができる。
    特級市民になれれば飲み代もタクシー代もタダ。
    植物状態の娘の医療費のため、男は今年も「肝だめ死」に挑戦する――
  • 「もうどうにもとまらない」
    カウンセリングを受けている男が語る奇天烈な話。
    男はストーカーで、目当ての女子高生を尾行していたところ、奇妙な事件を目撃するが――
  • 「子供は窓から投げ捨てよ」
    インタビュアーの男性が、話題のベストセラー「子供は窓から投げ捨てよ」の著者に話を聞く。
    巷では母親が子供を窓から投げ捨てる事件が次々と起きていて――
  • 「トワイライト・ゾーンビ」
    数年前、死亡した人間が蘇る現象が発生した。
    ”再生者”と呼ばれる蘇生した人間は徐々に増え、”再生者”を収監する施設も建設された。
    男性は息子と共に死んだ妻が収監されたセンターを訪れ、妻と面会し――

これぞ遠藤徹ワールド!魅惑で蠱惑!!

  • 「むかでろりん」
    人間が結節器という器官で繋がり、巨大なカエルやナメクジ、ムカデのような生物になって、隣町などから入ってきた巨大生物(元は人)と戦います。
    さながら怪獣大戦争のような感じですが、怪獣になるのは普通の人間。
    奇抜な発想でありながら、それがさも当然のような日常描写がすごいです。
  • 「鬼を撃つ」
    散歩でもするかのように鬼を撃ちに行くのですが、捕まってしまいます。
    鬼たちと共に寝食を共にすることになった人間の男女が描かれています。
  • 「MEET IS MURDER」
    牛人間が突然世界中に現れます。どこから来たのかは分かりません。
    でも言葉は通じるし、服も来てるし、携帯電話も持っている。
    はじめは差別もあったのですが、いつしか牛人間と人間は手を取り合って行こうという方向に。
    うまくいくのでしょうか。
  • 「ピノコな愛」
    海に行こうとした男女が、道に迷って巨大なキノコと遭遇します。
    マタンゴっぽい。
  • 「八つ裂けの妻」
    体を自由自在にバラバラにできる女性。それに翻弄される悲しい男心。
    人間は怖い(笑)
  • 「肝だめ死」
    デスゲームっぽい雰囲気ですが、遠藤徹さんが描くとこんな感じになるんですね。
    ラストはちょっと良い話。
  • 「もうどうにもとまらない」
    悪夢としか言いようがないです。夢野久作作品のような雰囲気を感じます。
    巨大怪獣感もありますが。
  • 「子供は窓から投げ捨てよ」
    次々と母親が子供を投げ捨てる事件が起きている中、衝撃的なタイトルの本が出版されます。
    もちろん非難轟々。
    ユーモアなのかな、と思う結末です。解釈は読者に委ねられているのかも。
  • 「トワイライト・ゾーンビ」
    タイトル通りゾンビもの。
    妻がゾンビになってしまった男性と、その息子が面会に行きます。
    幼い息子からすれば、ゾンビでも母は母。切ないゾンビ作品です。

先が読めない展開と、魅惑的で蠱惑的な世界観は今作も健在です。
いい意味で期待を裏切らないというか、裏切られるというか(笑)

遠藤徹さんはとても文章が巧みで、言葉遊びをしている風な作品もあったり、不気味な印象を与えるオリジナルの言葉・擬音が良いスパイスになっています。
どっぷり浸って楽しんでください。

【遠藤徹/姉飼】脂祭りで姉を飼う!!衝撃的世界観の怪奇短編!
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