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【堀井拓馬/夜波の鳴く夏】令嬢に惚れた妖怪!不幸になる絵画!狂気的な愛の結末は?

小説

おすすめホラー小説「夜波の鳴く夏」の感想・レビューです。
2011年「なまづま」で第18回日本ホラー小説大賞〈長編賞〉を受賞した、堀井拓馬さんの作品です。

令嬢に惚れ込んだ妖怪を主人公に、肉欲と暴力が描写されています。エロティックでグロテスクなので要注意。

作品名:夜波の鳴く夏
著者:堀井拓馬
発行日:2012年08月25日
発行元:KADOKAWA

大正時代はぬっぺほふが大人気

大正時代、妖怪ぬっぺほふが女性たちに大人気。ぬっぺほふに顔を舐めてもらうと肌が若返るといい、ぬっぺほふをペットのように飼うのが流行している。

財閥家の令嬢コバト姫に飼われるぬっぺほふは、コバト姫に心底惚れ込んでいた。

ある日、ぬっぺほふはコバト姫が義理の兄・秋信と肉体関係を持っていることを知り、激しい嫉妬と興奮を覚え、秋信を殺そうと考える。
妻子もいながら義妹と関係を持つ秋信は、他にも逢引している女性がいた。

巷で噂の、人を不幸にする絵「 夜波」を手に入れようと、ぬっぺほふは青年画家・ナルセに近づき、言葉巧みにナルセを口説こうと画策する。

一方、コバト姫には”遊んであげている”青年がいるらしく――

凄惨・淫靡な展開に目が離せない

全五章で構成されている本書は、主人公が妖怪ぬっぺほふという時点で、異色さを醸し出しています。
章によって視点が変化して進んでいきます。
◆大いに正しくあろうとする傲慢なそれ……ぬっぺほふ視点
◆価値無きものどもの市……ぬっぺほふ視点
◆徒然なる内省の毒素……義兄・秋信視点
◆すなわち、ただ女は空腹に従順で……コバト姫視点
◆名無しの恋慕と夜の波……ぬっぺほふ視点

見どころは、人を不幸にするという絵画「夜波」を手に入れようと、ぬっぺほふがナルセを妖怪・人間が集う市「無得市」に連れて行くシーン。
そして、人間たちの残虐なまでにエロティックでグロテスクな肉欲と暴力描写です。
「夜波」に執着し、登場人物たちが次第に狂っていく様、本性が露わになっていく様が、ぐいぐい読ませます。というか、目が離せません(笑)
コバト姫がぬっぺほふのことを「かあいいお肉ちゃん」と呼ぶのですが、なんとも卑猥な響きです。

ラストは個人的には割とスッキリできました。コバト姫の章で終わりにしても綺麗だったかと思いますが……このあたりはお好みですね。

エログロ・虫が苦手な方には、あまりおすすめできないシーンがあります。飴村行さんの「粘膜」シリーズや平山夢明さんの小説がお好きな方なら楽しるかと思いますよ(^O^)/

デビュー作「なまづま」もいかが?

堀井拓馬さんのデビュー作「なまづま」は、第18回日本ホラー小説大賞〈長編賞〉受賞作です。

作品名:なまづま
著者:堀井拓馬
発行日:2011年10月25日
発行元:KADOKAWA

ヌメリヒトモドキという、激臭を放ち、なかなか洗い流せない粘液に覆われた生物が日本中に蔓延している世界。
ヌメリヒトモドキの研究機関で働く主人公は、ヌメリヒトモドキの特性を利用し、亡き妻を蘇らせようとする。
だが、やがてヌメリヒトモドキの飼育に没頭していき――

という物語です。
全編鬱々とした文体・展開で、グロテスクさもありつつ、根本的にあるのは純愛。
個人的には「夜波の鳴く夏」の方が好みですが、「なまづま」も気になる方はお手に取ってみてはいかがでしょうか(^-^)


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